あなたは神を信じますか?

201508041



原作信者?アニメ版信者?それとも町山智浩信者?ライムスター宇多丸信者?あ、そうそう忘れてた、前田信者?

本年度邦画最大の話題作は、観るものの試金石となる大変な珍品。

傾向からすると、原作信者は設定で怒り、アニメ版信者は、ミカサに終始。町山信者は、今まで信じてきたものに疑いを持ち、自己を見失い大混乱。宇多丸信者は、週末まで語らない(笑)。非常に分かりやすい行動になりそう。

オレ?前田信者。

というのはウソで、そう、しんざん信者。

本作、邦画の伝統芸と怪獣映画のノウハウをホラーの定石に当てはめて、ある部分、ギャグにして茶化し、ある部分、大真面目に繰り広げるという荒技のブサイク加減に爆笑する映画となった。

少なくとも、前提は「ファンタジー」な設定をどう笑ってあげられるか、それに尽きる。

脚本は渡辺雄介+町山智浩。

うるさ型にはクソ扱いされる脚本を安心安定クオリティで生み出すが、ある意味最も「堅実」な渡辺氏と、うるさ型からすれば、クソ映画を最も多く観た、クソ映画を知り尽くした「神」町山氏のコラボ?こそが、本作の最も楽しい楽しみ方。

その化学反応が面白いか、どうかはさておき、なかなか手はこんでいる。

例えば、公開直前の予告に、エレンが絶叫する一コマがあった。これを見てライトな観客はドキドキし、うるさ型は、ああ、また邦画のクサイ絶叫かよ!と思うであろう、あのシーン。

しかし本編では、ここでエリンが絶叫するぜ!という時に、横ヤリ入って、「いやいや、あんた、だまんなさいって」「あ、ごめんなさい。。」って、エレンを黙らせる。

邦画の伝統芸を、ギャグにしている引っ掛け。なかなかやるじゃねえか。

また予告時、大不評だった立体機動装置による飛翔シーンのダメダメCGも、本編では大分改善されている。
(ただし、飛んでる全身を正面から撮るダメダメカットは残ってた。)

そう、予告と本編の使い分け、扱いがなかなか戦略的。氏ぬ氏ぬ詐欺の逆バージョンとでも言おうか。ムキ出し巨人は見せ場ではなかった!というのは十分なサプライズだと思う。

実際本編は巨人の重量感、恐怖感、キモイ感はホントよく出ており、特にエレンが巨人化しての、他の巨人を殴り倒すシーンは、日本ならではの特撮技術の結晶で、「パシフィックリム」、「GODZILLA」ではこぞって逃げ回っていたダイナミックな映像を、真正面から見せてくれる。そこは大いに誇っていい。

また、ホラー映画としての、作品の立ち位置も心得ており、内容的に「無意味」だが、ホラー映画的に必須な定石として、「わざわざご丁寧に」用意された欲情したオンナや、エッチしてるヤツらは巨人に喰われる、というところや隊長が指示出し中に喰われる、という定番もあり、笑かしてくれる。

登場人物がこぞってバカなのは、特撮映画であり、ホラー映画だからだ。正直ズルいが、そりゃ、しょうがない。

うるさ型が、またいつもの渡辺雄介氏の脚本かよ!でこき下ろす、を承知の上で、映画オタなネタを散りばめ、後で、そいつらに、最初のバカにした脚本が、実はスゲー凝ってました!って、言わせたいかのような、製作陣のイヤラシイ感じが透けて見える。

話の筋以外は「公開後しばらくしてから」脚本の凝りように目を向かわせようとするとは、樋口監督、イヤラシイ。

役者について

原作知らないが、主人公エリンの青臭さ満載は原作者希望の改変の最も大事な点だと思うが、演じる三浦くんが意外にも、ちゃんとアオい青年に見えて素晴らしい。だからこそあの大人になれていないアオい青年の心からの絶叫寸止めがより楽しくなるのだ。

水原希子さんもイイ。再登場時の「飼われてる」感がイイ。

それらに比べると、石原さとみさんは、演じやすいキャラ故、ほめる理由は特に無い。

追記

もちろん

・そもそも兵士がいるが壁に見張りがいない
・その文化レベルでは立体起動装置は作れるが、なぜ生体レーダーは作れないのか、さっぱりわからない
・人間の声には反応、車の音は気にしない巨人
・締め出したことがあるなら、その方法は記録があるだろう

ハナっから言ってもしょうがない問題は山積。この辺までもがギャグか?と言われると、まず違う。

ただしそれは、原作にはちゃんと説明があるのか?と言う質問にまともな答えが返ってくることを期待するのと同じくらいムダな突っ込みだ。

さあ、あなたは誰を信じますか?

追記2

巨人の存在について

原作しらずの勝手な解釈だけど、映画で観る限りは、人間の憎悪から成り果てた姿、ということに見える。
(エレンの場合は、ミカサへの逆ギレのようにも見えるようにしてほしかったが)

つまり、「世界は残酷だ」というのは、「無慈悲な弱肉強食の世の中」「壁の外からの恐怖」というだけでなく、巨人の襲撃は、人間の憎悪の醜さが招いた事態、もっと言うと、「巨人こそ犠牲者」という帰着点に落とすことも可能なわけだ。

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