「ハドソン川の奇跡」
劇場公開日 2016年9月24日

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名匠クリント・イーストウッド監督がトム・ハンクスを主演に迎え、2009年のアメリカ・ニューヨークで起こり、奇跡的な生還劇として世界に広く報道された航空機事故を、当事者であるチェズレイ・サレンバーガー機長の手記「機長、究極の決断 『ハドソン川』の奇跡」をもとに映画化。(映画.comより)


実際の事件という意味では、確かに奇跡的な出来事だし、映画向き。しかも映画の作りとしては、実に大人の映画である。





「ハドソン川の奇跡」






本作はそのサレンバーガー機長を人間味ある「ヒーロー」としてある程度描いているのは、これまでのイーストウッド監督のかつての作品の流れとして一貫しているので、当然のことだが、前作「アメリカンスナイパー」に続いての本作、とみるともう少し奥が深くなる。


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前作の主人公はイラク戦争にて、「従来の強い良きアメリカ人」の「そこでしか自分を発揮できない」、アメリカの闇、アメリカのヒーローの「悲劇」を描いたものだったのに対し、本作の主人公は、まさにそれを受けて、そんな「闇」を背負ってきた、それでもなお存在する「従来の強い良きアメリカ人」のヒーローとしてサリンバーガー機長を描いている。


映画の出来をオレは、去年のガッカリワーストに選んだ「アメリカン・スナイパー」だが、本作と比較すると、「古き良きアメリカ人の悲劇」と「仕事と家庭を大事にする強い精神力のアメリカ人の勇気をたたえた物語」という、ある意味正反対だが、実は「おなじヒーロー」として両作品を見ることができる。


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「アメリカン・スナイパー」レビュー



これは映画のシーンでもわかるが、ここに登場する人物はすべて「あの悲劇」を想起しつつも、「今それを起こすわけにはいかない」という確固たる信念と、日々の日常を強くたくましく生活しているアメリカ人の「強さ」「優しさ」が浮き上がってくる作りはとても誠実。

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国家運輸安全委員会の厳しい追及の描写が、若干単純な「敵」として見えがちだが、そっちの描き方は、あえての演出。機長と副機長の「オトナな対応」をより強調するためのやや誇張した描き方にしてある。


めんどくさい委員会の口撃も、キレることなく、さらりといなす。それは弁が立つ、とかではなく、「自分の行ったことに対して、自信があるかどうか」である。

だがそんな機長もやはり揺れる。

そんな、仕事にプロフェッショナルで、家族も大事にする、そんな強い男が揺れる。




それがあの、9.11の悲劇がもたらしたものなのである。

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イーストウッドは、それでも、いや、だからこそ、オトナに描く。 普通の日本人の、ボンクラなオレはやはり、そこまでの彼らの心情はリアルに実感できない。


だが、イーストウッドの、オトナな視点のおかげで、これは、「アメリカのヒーロー」の映画だが、と同時に「オレたちのための映画」にまで昇華している。

その理由は、そんな機長と副機長の委員会に対する「オトナな対応」がかっこよかった他ならない。

事故発生時に、パニックにならず、冷静に考える。副機長は「ルールとしてやるべきこととして」マニュアルを広げる姿に優秀なサラリーマンをみる。 そもそもあの委員会のシミュレーション検証内容ははっきり言ってゆるゆるだし、かつ「悪意のある検証結果」である。 だが、機長、副機長が、「やることをやっていているからこそ」、機長の証言が生きてくるのである。

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感動的な実話だし、映像も迫力ある。少し単純な「敵」としての委員会の描き方も意味がある。十分素晴らしい映画だ。


が、それよりも、サラリーマンのオレとしては、何と言ってもその「オトナ」な姿に感動した。 これこそ、今オトナとして学ぶべき映画。


「家族」を思い、無事着地する、という「仕事」を全うし、155人全員無事に家に帰し、そして「9.11後の社会」を思う。




これこそ社会人として見習うべき姿だと思う。




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追記

会社などで、ワントピックを話すような朝礼があるようなところだと、ぜひこの映画を話題にし、勧めるといい。

追記2

ラストの副機長の一言は、「155人全員無事だった」という結果によるものである。仕事をするうえで、こんなジョークを吐いてみたいと思いつつ、オレは日々頑張るのである。

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